コンクリートのクラックを自分で補修する方法まとめ
コンクリートのクラック(ひび割れ)を自分で補修する方法についてまとめました。
コンクリートにクラックが起こっているのが気になるけれど、自分で補修していいのかどうかわからない。そんな時の判断材料となる原因や、DIYで直さず業者へ依頼しなければならない基準のことについても解説します。
業者に依頼した時の費用の目安なども記載しているので、参考にしてください。
コンクリートのクラック(ひび割れ)が起こる原因とは?
コンクリートのクラックとは、硬化したコンクリートやモルタルに生じたひび割れのことを意味します。クラックが起こる原因はいくつかあります。
地震
地震の影響により、コンクリートにひびが入ってしまうことがあります。これは築年数が古い建物や、建物が建っている位置にもよります。地震が起こった後はコンクリートはもちろん、異変がないかどうか、家まわりを一周して確認しておくことをおすすめします。
温度変化
コンクリートは、水和反応という化学反応により硬化します。この水和反応に伴って発生する水和熱により、コンクリートの温度が80~100度程まで上昇したら、数週間から数ヶ月かけて温度が下降しながら収縮していきます。この収縮過程で、クラックが起きることがあります。
乾燥
コンクリートに含まれる水分が蒸発して乾燥すると、その分の体積が収縮します。この時、コンクリートが自由に収縮できると問題ありませんが、鉄筋などの柱で固定されていると収縮ができなくなり、結果ひび割れに繋がってしまうことがあります。
水分凍結
気温の低い地域などでは、コンクリート内の水分が凍結することがあります。凍結すると建材が膨張して、コンクリートにクラックが起こります。この現象のことを「凍結融解」と呼び、ひび割れ部分から更に雨などで水分が染み込むと、凍結融解を繰り返して悪化するばかりです。早いうちに手を打っておかなければなりません。
地盤沈下
基礎工事がしっかり行われた場所に建物を建てなければ、重さで地盤沈下を起こしてしまいます。地盤沈下により建物が傾くと、力が加わった部分にクラックが起きます。このケースによるクラックは、早急に補修が必要です。
DIY前に確認必須!業者へ依頼しなければならない基準とは
コンクリートのクラックはDIY補修可能な許容範囲が決められており、0.3mm以内のひび割れであれば可能です。それ以上になると業者に依頼しなければなりません。
DIYは緊急性が低い時に、あくまで悪化を防ぐ目的で行う必要があります。ひび割れの幅が許容範囲を超えていたり、コンクリートだけでなく建物の状態にも影響が出ているようであれば、自分では作業を行わずプロに相談しましょう。
コンクリートのクラックを自分で補修するために用意するもの
コンクリートのクラック補修を行うために用意すべきものは次の通りです。
- ひび割れ補修材
- ヘラ(補修材に付属している場合があります)
- マスキングテープ
- ハサミ
- ワイヤーブラシ
- 保護メガネやゴム手袋
ひび割れ補修材といって、コンクリートのクラックをDIYで直す専用品が販売されています。こちらはさまざまなメーカーから製品が展開されているため、選ぶ際に迷うかもしれません。ネット通販サイトで購入予定であれば、口コミ評価などをチェックしながら製品を選ぶといいでしょう。
アサヒペン ワンタッチカベ用コンクリ補修材 200ML W002 グレー
こちらは定番のコンクリート補修材です。チューブ式になっており、そのまま絞り出して使うことができるので便利。製品名にコンクリートと表記されていますが、レンガ壁や壁面の岩・石などにも使うことができます。
ワイヤーブラシはひび割れ部分の掃除を行うために使います。歯ブラシなどで代用しようとすると、ビニール素材の毛先ではコンクリートに負けてしまい、使い物にならない場合がほとんどです。安いものでもいいので、金属で作られた毛先のブラシを用意することをおすすめします。
補修材にはエポキシ樹脂が含まれるものなどがあることから、作業時には保護メガネやゴム手袋を装着し、硬化までは直接肌に触れないよう作業を行いましょう。
クラックを起こしているコンクリートが地面ではなく壁面である場合は、作業中に補修材が下に落ちてしまう可能性があります。そんな時は、作業を行う足場にビニールシートなどを敷くことで保護しておくといいでしょう。
いずれもホームセンターやネット通販サイトなどで気軽に手に入るものばかりですが、マスキングテープ・ハサミ・ワイヤーブラシなどは100均でも手に入るので、ぜひそちらもチェックしてみてください。ヘラに関しても100均で手に入りますが、ヘラになりそうなものであれば別のものでも代用可能です。
コンクリートのクラックを自分で補修する方法
コンクリートのクラックを自分で補修する方法について解説します。
①ワイヤーブラシでコンクリートのクラック部分の汚れを取る
コンクリートのクラックを自分で補修する前に、まずはクラック部分の汚れを取っておきましょう。ワイヤーブラシを使い、ホコリやゴミなどを掻き出します。コケや泥などが入り込んで汚れている場合は、水洗い・洗剤洗いもOKです。ただし、洗った後はしっかり乾燥させる必要があるので注意してください。乾燥時間を取るため、クラック補修は後日行うことになる可能性があります。
②ひび割れ箇所の深さを確認
ひび割れ箇所の深さを確認してください。深さがおよそ6mm以内であれば補修材のみで埋めていきますが、6mm以上の深さがある場合は先に細かな砂を埋め込んでおきます。補修材はその上から注入していきます。暗くてわかりにくい場合は、懐中電灯やスマホのライトで照らして確認しましょう。
③補修箇所周辺をマスキングする
ひび割れ部分のみに補修材を入れるため、周辺には補修材がつかないよう、マスキングテープで覆っておきます。
④補修材を準備する
補修材の準備を始めます。販売されている補修材の多くは、チューブ型になっています。開封前によく揉んで、中身がよく混ざるよう均一にしておきましょう。付属のノズルの先端は、補修するひび割れの幅に合わせてハサミなどで切り取ります。切り終えたら、内フタを外しましょう。
⑤ひび割れを補修材で埋める
ひび割れに補修材を埋めていきます。ひび割れ箇所にノズルの先端を押し当て、中身を押し出しながらひび割れに沿って進んでいきます。埋める際に約6mmは中に入り込むことを視野に、少し盛り上がるくらいの量を絞り出してください。
⑥ヘラで表面をならす
ヘラを使い、ひび割れの表面に絞った補修材を押し込んでならしていきます。全体をならし終えたら、補修材が乾燥する前にマスキングテープを剥がしてください。
⑦硬化させる
補修材が硬化したら完成です。表面が硬化するまでにかかる時間は、夏場であればおよそ3時間ほど。冬場であれば約6時間程度が目安です。内部に関しては完全に硬化するまで48時間はかかるとされています。硬化時間は長く見ておいた方がいいので、未硬化前に強い刺激を与えたりはしないようにしましょう。
コンクリートのクラックを放置しているとどうなる?
コンクリートにクラックが起こっていることをわかっていながら放置していると、ひび割れた箇所に日々雨水がどんどん流れ込み、内部で錆の腐食が進行してしまう可能性があります。また、ひび割れそのものがコンクリートの強度を下げ、建物の重量を支えきれずに地盤沈下を起こす恐れもあります。ひび割れは建物や敷地が傾いていることを知らせるひとつのサインでもあるので、この機会に一度プロに見てもらうことをおすすめします。
業者に補修を依頼した時の費用について
コンクリートのクラックが幅0.3mm以上、深さ4mm以上であれば、業者に補修を依頼することになります。その際にかかる費用は、ひび割れ部分をV字型にカットして補修するVカットシール工法であれば約4,000~1万円/m、シートを貼り付けてその上からモルタルで補修する耐震性あるアラミド繊維シートであれば2~3万円/m程度。
ひび割れ表面にゴム製の注入器を設置し、低圧で樹脂を注入する補修ビックス工法であれば1~2万円/m程度が目安です。依頼先はハウスメーカーやリフォーム会社などで、どの方法にするかについては、依頼した時に見積りと一緒に相談できます。
まとめ
今回は、コンクリートのクラックを自分で補修する方法について、紹介しました。
コンクリートのクラックは、0.3mm以内であれば自分で補修可能で、それ以上のクラックは業者に補修を依頼しましょう。
自分でコンクリートのクラックを補修する場合は、今回紹介したコラムを参考にしてみてくださいね。
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