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2022/08/31

DIY

溶接機とはどんな仕組み?DIY向けのツールの選び方

DIYで金属加工をしたいと思っているのであれば、溶接機はぜひとも欲しいものです。しかし、溶接機というとプロのものというイメージを持っている方も多いです。また、たくさんの製品種類があってどれをどのように選んだら良いか分からないかもしれません。そこで、そもそも溶接機とはどのような仕組みで、どのような種類があるのかをチェックしておきましょう。それにより、自分に合った製品の選び方が見えてくるはずです。

溶接機とは?役割と仕組み

溶接機とは、金属を熱などによって溶かして2つの異なる部材をくっつけるための機械です。特殊なものでなければ、普通は鉄同士、アルミ同士と同じ種類の金属を溶接します。金属も当然高温の熱をかければ溶けますので、接合したい2つの接点に熱を加えて溶かします。そして、お互いをつなげた状態のまま冷えると2つが溶接されるわけです。溶接機とは、この熱を加えるための機械と言うことができ、熱源となるものの種類によって溶接機もタイプが異なります。

大きく分けると溶接機は、ガスを燃焼させることで熱を加えるガス溶接と、電気の力で熱を発生させるアーク溶接とに分かれます。もう一つ特徴の異なるものとして、レーザーを照射することで溶かす溶接機も存在します。それぞれに向いている加工内容や作業場所、作業者のスキルなどが異なりますので、きちんと種類ごとのメリットやデメリットを理解した上で、DIY用に購入する必要があります。また、溶接の内容によっては資格が必要だったり、特殊な道具が求められたりするものもあります。DIYの場合はそもそも選択肢に入らない溶接機もありますので、あらかじめ確認しておきましょう。特にガス溶接は、DIYでは資格の有無や危険が伴うという理由からあまり使われません。アーク溶接がメインとなりますので、その中から選ぶと良いでしょう。

溶接機の種類

工場などで利用される特殊な製品やガス溶接機ではなく、市販されている電気を使った機械ということであれば、溶接機は主に次の5つの種類があります。

・被覆アーク溶接

・MAG溶接

・TIG溶接

・MIG溶接

・レーザー溶接

1つ目の被覆アーク溶接は最もポピュラーな手法で、アーク放電を使って溶接をします。このタイプの溶接は、「フラックス」と呼ばれる被覆が付いている溶接棒をホルダーに挟んで、接合したい部分に触れることで溶接をしていきます。触れたところに高い熱が生じて金属が溶けるので、溶接棒を動かしていくことで線状に溶接していくことができます。100V用の溶接機も多く市販されていますし、溶接棒さえあれば作業できるので手間がかかりません。ただし、上手に溶接するのには練習が必要で、最初のうちは接合部がガタガタになってしまいます。

MAG溶接は、アルゴンガスと炭酸ガスなどを使って溶接をするものです。これをシールドガス、つまり溶接材とワイヤーの間に発生させるアークの盾として使い、熱を集中させることで効率よく溶接を進めていくという手法です。より深く熱を加えられることや仕上がりがきれいになることから、初心者でも使いやすいやり方です。ただし、風があるところではガスが揺れるので使いにくいことや、アルミでは利用できないといったデメリットもあります。

TIG溶接機とは、タングステンを電極として使っているものです。溶接材と電極の間にアーク放電を起こすことによって接合します。その際に、アルゴンガスやヘリウムガスをシールドガスとして利用します。溶接している部分が比較的見やすいので複雑な形状の接合でもきれいにできますし、仕上がりが全体的に美しくなるというメリットがあります。安定性があるので初心者にも優しい溶接方法です。一方で、きれいにできる分溶接スピードは遅くなりますので、たくさんの作業がある場合に時間がかかってしまうことがあります。

MIG溶接は基本的にMAG溶接と変わりません。使用するガスの種類が違うだけで、MAG溶接の場合はアルゴンと炭酸ガスなどをミックスして使うのに対して、MIG溶接の場合はアルゴンガスかヘリウムガスのみを使います。接合の仕上がりがきれいにできますので、初心者でも見た目にこだわった溶接ができるのがメリットです。ただし、アーク放電の幅が広くなる分、溶け込みの深度が甘いというデメリットがあります。そのため、厚みのある金属では接合が甘くなることがあります。さらに、アルゴンガスなどは高価ですので、コストが上がってしまいます。こうしたことから、プロはアルミや合金など、他の溶接方法では作業しづらい金属や、仕上がり面の美しさが求められるシーンでのみ使うことが多いです。

レーザー溶接機はレーザー光線を接合部に当てることで、そこに熱を発生させて溶接するものです。特殊な集光レンズによってレーザーの力を集中させて、細かな部分も溶接できるのが特徴です。また、鉄同士でなく異なる金属でも溶接できるのもメリットです。アーク溶接と比べると、レーザー照射によって一瞬に熱が発生して溶接ができるので作業が速いという良さもあります。こうしたことから、アクセサリー加工などの小さな金属を加工するための溶接機としては、レーザーが最も使いやすいと言えるでしょう。細かい作業ができるということからもDIY向けの小型溶接機も販売されていますので、購入しやすいというのもメリットです。デメリットとしては、反射が強い金属材はレーザー光線を跳ね返して熱があまり発生しないので、そもそも溶接ができないという点が挙げられます。

DIY向けの溶接機の選び方

まずは、どの程度でどのような作業をするかということによって、適切な溶接機が変わってきます。小さな部材を扱うのであればレーザー溶接機の一択となるでしょう。また、ガスを使うアーク溶接では、当然ガスを購入しないといけませんし、ガスを燃焼させても延焼などの問題が生じない環境を用意しなければなりません。こうしたことから、一般的な金属溶接をDIYでするのであれば、被覆アーク溶接が最も使いやすいはずです。電源を確保し、溶接機と溶接棒だけで済むからです。また、火花や溶けた金属は飛びますが、ガス燃焼がないのでより安全に作業できるからです。

ホームセンターなどでもいくつもの製品が販売されていますが、DIY用とプロ用の溶接機とは性能だけでなく、必要な電源が異なることがあります。プロ用だと200Vでないと使えないケースもありますので、DIY用では無理でしょう。性能の良いものを選ぶのは大事ですが、ハイスペックな機械は重くて大きいことが多いです。場所を取りますし、取り回しが悪くなりますので、DIY用なら小型のものを選んだ方が使いやすいです。こうしたことから、使い勝手の良いレーザー溶接機か、小型の被覆アーク溶接機を選ぶのがDIY用としては最適と言えます。後は予算や大きさ、スペックなどをその範囲で比較して決めましょう。

まとめ

金属加工をするには溶接機は欠かせません。いくつかの異なる種類がありますので、作業用途や作業場所の状況などを考えて選びましょう。DIY用溶接機ということであれば、レーザー溶接機か小型の被覆アーク溶接機が向いています。プロ用溶接機とは違って、DIY向けのものは出力が小さいなどの制限はありますが、取り回しが良く使いやすいので十分に作業を楽しむことができるはずです。自分に合ったツールを手に入れてDIYワークの幅を広げましょう。

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