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DIYを始めて、インパクトドライバーなどの電動工具の性能に感動する、これはDIY初心者にとってよくあることでしょう。もっとすごい電動工具はないものか、高性能な電動工具を触ってみたい、などとテンションが上がることも珍しくはありません。一方、プロは電動工具を選ぶ際に性能を最優先にすることは少なく、高性能に越したことはないくらいの考えが主流です。性能よりも、電動工具のバッテリーの互換性が重要視されやすいため、性能が最優先されるケースはさほど多くはありません。
各種電動工具はコード式と充電式に大きく分けられますが、現在のところ、個人・プロを問わず、コード式は充電式と比べて避けられる傾向があります。充電式にも難点はあるものの、コンセントがない場所では使用できない、どうしても使用したい場合に発電機を用意する必要があるというのは、コード式の大きな難点です。そのため、場所を問わず使用できる充電式の製品が重宝されています。
しかし、ここで問題なのがバッテリーの互換性です。代表的な電動工具のメーカーとしてマキタ、ボッシュなどが挙げられますが、これらのメーカーのバッテリーは自社製品にのみ対応しており、他のメーカーの電動工具を充電することはできません。そこで、効率の問題から同じメーカーの電動工具を揃えるということになりやすいのが実情です。
同じメーカーの製品で揃えれば充電が楽になると捉えるか、メーカーの囲い込み戦略により選択肢が狭まっていると捉えるかは人それぞれですが、いずれにしてもプロは同じメーカーの電動工具で揃えることが多く、結果的に性能はあまり重視されていません。各メーカーから発売されている電動工具の性能が十分だからこそ、性能があまり重視されないという事態が起こるわけです。いずれにしても、すごい電動工具が発売されたと話題を集め、皆がこぞって飛びつくようなケースは、プロの世界ではほとんどありません。
同じメーカーで揃える方が効率的ではあるものの、個人でDIYを楽しむのであれば、電動工具の性能を重視したいという需要もあるでしょう。ネジ締めや穴あけに使えるインパクトドライバーで、個人的にすごいと思うのは、最大トルク値が大きな製品です。一般的なネジ締めに使うのであれば、最大トルク値は100~120N・m程度あればよく、それ以上の性能があってもさほど意味はありません。しかし、本格的な家具作りを始めるなどの理由で長いネジ締めが必要な場合、最大トルク数が130~140N・mクラスのインパクトドライバーがあると頼りになります。
もっとも、これはあくまで個人のDIYでの話で、プロ向けの製品では200N・mオーバーのすごいインパクトドライバーもあり、最大トルク値の数字が特に大きいのが、マキタより発売されている「充電式インパクトドライバ TD001GRDX」です。プロ向けということもあって価格は高いものの、高性能な上に、防水機能や防塵機能も備えており、使用する場所を問わず、そのパワーを発揮してくれます。
木などの素材の切断は電動工具が大活躍する場面ですが、比較的安全、かつ効率よく素材を切断できるのが卓上スライド丸ノコです。同じく、切断のために用いられるチェーンソーや電動丸ノコは扱いに細心の注意を払う必要がありますが、卓上スライド丸ノコは本体に素材を固定し押し切る形で切断できるため、比較的安全です。先に書いたように、現在のところ、コード式より充電式の電動工具の方が優勢ですが、卓上スライド丸ノコはコード式と充電式で性能の差が大きく、高性能なコード式を用いるケースも珍しくはありません。
卓上スライド丸ノコの性能で、まずチェックしておきたいのが切り込み幅で、切り込み幅以内の大きさの素材であれば、1回で切断可能です。コード式の卓上スライド丸ノコでは最大切り込み幅が312mmに設定されている製品が多いのに対し、充電式だと最大切り込み幅が312mmの製品はさほど多くはありません。
個人的にすごいと感じる卓上スライド丸ノコは、マキタの「216mmスライド丸のこ LS0814FL」で、こちらはコード式です。切り込み幅は312mm、回転数も十分で、非常に高性能でありながら、傾斜角度微調整機能が搭載されており、細かい調整をしやすい点も見逃せません。
充電式にも最大切り込み幅が312mmの卓上スライド丸ノコはあり、マキタの「190mm 充電式スライドマルノコ LS714DZ」はパワーも十分です。切断時の負荷に合わせて自動で変速する機能が搭載されていて、負荷が軽い時は高速回転モード、負荷が重い時は高トルクモードに自動で切り替わり、効率のよい切断を実現してくれます。
ディスクグラインダーは、切断砥石、研削砥石、ダイヤモンドカッターなど先端の工具を替えることで、切断や研磨、削りなどの複数の作業をこなせる、非常に便利な電動工具です。DIYでもよく用いられる定番の電動工具ですが、ディスクグラインダーは高速タイプと低速高トルクタイプ、両者の中間に当たる万能タイプに大きく分けられます。
金属を切断する際には回転数の数字が大きなディスクグラインダーが有用で、個人的には工機ホールディングスの「100mm ディスクグラインダー G10SH6」が気になりました。分割コアモーターを採用することで最大出力を1,100Wにまで高めており、切断作業で遺憾なくパワーを発揮してくれます。また、パワーが期待できる製品でありながら、冷却効率もよく、時間がかかる作業であっても、終始安定して実力を発揮してくれるのが魅力です。価格もお手頃で、性能面だけでなく、コストパフォーマンスの面でも非常に優れています。
研磨作業、コンクリートの切断に向いているのが低速高トルクタイプで、こちらのタイプではボッシュの「GWS7-100TN PROFESSIONAL」に注目です。こちらの製品は性能面で優れており、かつ使いやすさに徹底的にこだわっている点がすごいと感じました。グリップは56mmと、高性能を実現しているにもかかわらず、非常にスリムで、長時間の作業でも疲れを感じにくいのが大きなメリットです。また、本体ボディはラスファイバー強化ポリアミド樹脂で作られており、徹底的な軽量化が図られています。そして、スイッチの位置がボディの側面にあり、本体を持つ手ですぐにスイッチのオンオフを切り替えられる点も見逃せません。ディスクグラインダーは危険性の高い電動工具ですが、事故のリスクを減らすため、スイッチの押しやすさといった細かいところに気を配っている点を素晴らしいと感じました。
これらの製品も十分に高性能なのですが、性能を追い求めるのであれば、高周波グラインダーは避けては通れません。高周波グラインダーは、高周波インバーターと呼ばれる高周波を発生させる装置と組み合わせて使う特殊なディスクグラインダーで、高周波のサポートを借りることで、より効率よく作業を進められます。造船のような大規模な作業現場で使われることもあるように、明らかにプロ向けで、個人で高周波グラインダーを使用するのは現実的ではありません。そもそも、高周波インバーターを動かすためには三相200Vという特殊な電気が必要なので、三相200V対応の電気料金プランを契約するなり、三相200Vに対応した発電機を用意するなりしないといけません。その上、高周波グラインダーは非常に大きく、かつ高価なので個人での利用は困難ではあるものの、一度は触ってみたいと思わせるだけの強い魅力があります。
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