ディーラーメカニックはどんな工具を使っている?
プロが使う工具はどう違うのか?
ディーラーメカニックや自動車整備工など自動車を扱うプロが使用する工具のことを自動車整備工具と呼ぶことがあります。つまり「プロ愛用」の工具であり、それだけ優れた機能や魅力を備えているように思えるわけですが、実際にはDIYや自分で自動車の整備などを行っているわたしたち一般人が使っている工具とは何が違うのか、興味がある方も多いはずです。
しかしじつは自動車の整備・修理に使用する工具はプロもアマチュアもそれほど大きな違いはないというのが一般的な見解です。もちろん、価格などの面でディーラーメカニックの工具のほうがランクが上、といった面はありますが、アマチュアが見たことも聞いたこともないような特殊な工具を使うことは基本的にはないのです。つまりディーラーメカニックの工具とアマチュアの違いは価格や機能面、耐久性などにおもに見られると言えるでしょう。
あとはディーラーメカニックともなるとさまざまな種類の自動車を扱うことになりますし、扱う作業の範囲も広くなります。ですから工具の種類も多く、同じ工具でも細かいサイズごとに複数所有している、といった傾向が見られるのも特徴と言えるかもしれません。アマチュアがひとつの道具を3つの役割に使うのに対してディーラーメカニックは3つの工具をひとつの役割に使う、といった面があるわけです。
そしてもうひとつ、ディーラーメカニックの工具の特徴としては「プロとしてのこだわり」を持っていることが多い、という点も挙げられるかもしれません。ディーラーメカニックの工具はいわば職人さんの道具なわけですから、料理人にとっても包丁、野球選手にとってのグローブに該当します。ブランドや知名度、評判ではなくあくまで自分に合ったものを選ぶ、価格が高ければ良いというわけではない、といったこだわりを持っている傾向も見られます。そうなると当然ディーラーメカニックごとに使用する工具の傾向にも大きな違いが出てくるでしょう。
ディーラーメカニックならでは道具とは?
先述したようにディーラーメカニックとして整備・修理を担当するためには幅広い役割に対応できるよう、さまざまな工具を常時揃えている必要があります。そのためそれらの工具を一通り収納できる工具箱を持っています。一般の工具箱よりもたくさんの工具を収納できる大型のものが多く、これさえあればひととおりの作業ができるサイズになっているのが特徴です。
あるいは工具箱ではなくワゴン・カートを使用するケースも見られます。ディーラーメカニックの場合、基本的に作業をする場所は職場に限定されますから、工具を収納できるツールワゴン・カートを使用すれば多くの工具を手軽に移動させることができるので非常に便利です。ただし、この手のワゴン・カートは職場で用意されていることがほとんどなのでわざわざ自分でこだわりのものを用意することはほとんどないようです。
自動車整備に用意しておきたい道具とは?
それ以外は基本的に一般的な自動車整備で使用される工具を使用しています。その筆頭に挙げられるのがレンチです。メガネレンチやコンビネーションレンチを持っていないディーラーメカニックはいないと断言してもよいでしょう。六角ボルトやナットを締める際に欠かせないアイテムですが、ディーラーメカニックの場合はサイズごとに複数のレンチを所有しているのが一般的です。サイズに関しては8mm、10mm、12m、13mm、14mm、17mmの6種類が基本と言われます。
それからラチェットハンドルとソケット。これもボルト・ナットを締める・緩めるために使用する工具ですが、非常に軽い力で強い力を発揮することができます。この工具の特徴はソケットを差し込んだうえで使用する必要がある事、そしてソケットにはサイズがあることです。ソケットそのもののサイズとソケットの長さの両方の規格があり、後者の場合は狭い場所でも使えるショートソケットと奥まったところに差し込んで使えるディープ(ロング)ソケットの2種類に大別されます。もちろんプロともなると両方を用意しています。
一般家庭でもよく見かけるラジオペンチでは先端がまっすぐのストレートタイプと曲がっている先曲タイプの2種類を揃えています。
プロならではの工具ではガレージジャッキが挙げられるでしょう。ジャッキアップで車の本体を持ち上げるときに使用するものです。アマチュアでもかなり本格的に整備や修理を行っている方なら持っているかもしれませんが、一般家庭ではまずないものです。これさえあればエンジンオイルやオイルフィルターの交換、さまざまな部品の交換などかなり本格的な自動車の整備作業を行うことができるようになります。
このガレージジャッキだけでも車の重量に耐えて持ち上げることができますが、持ち上げたときの状態が少々不安定になりやすい不安点もあります。そのためガレージジャッキに加えてジャッキスタンドを使用して車体の安定を図ることもあります。車の形状やサイズによっても異なりますが、通常はジャッキスタンドを2点、もしくは4点で車体全体を支えることが可能です。プロだからといって油断せず、絶対に危険がない状態で作業を行う、これが大原則となるわけです。
プラス・マイナスドライバーも車の整備では必須ですが、一般のドライバーではなく貫通ドライバーと呼ばれるものがよく使用されます。これはグリップの部分をハンマーで叩くことができるようになっているもので、衝撃に強く、緩みにくくなった状態のネジを適度な衝撃を与えながら緩めていくのに適しています。プロだけでなくアマチュアもひと通りのサイズを揃えておくと便利な工具の一つです。なお「ショックドライバー」という名前で呼ばれることもあります。
奥まった位置にあるナットやボルトを緩めたり締めたりするのに役立つのがエクステンションバーです。車の整備作業では50mm、75mm、150mm、300mmの4種類のサイズがよく使用されています。バリエーションを豊富に揃えておいたほうがいざというときに便利です。
ディーラーメカニックの工具を購入するにはどうすればいい?
冒頭で触れた用に、プロ専用の工具はそれほど多くなく、アマチュアでもディーラーメカニックが使用している工具を購入することができます。問題となるのはやはり価格でしょう。プロが使用しているものは価格もそれなりになりますから、予算が許す範囲内で何を買うか、がポイントになってきます。
オススメはセットでの購入です。工具箱と一緒に車の整備に必要な工具がひと通り揃ったセットも発売されており、それぞれを単品で購入するよりも割安で入手することができます。セットなのですでに持っている工具が含まれていたり、自分には必要ない工具まで購入しなければならないといった問題もたしかにあります。ただすでに持っている工具よりもワンランク上のものを購入する良い機会にもなりますし、これまで縁がなかった工具と出会う機会も得られるでしょう。
KTCやTONE(トネ)、SIGNETといった自動車整備のプロが愛用しているメーカーもあります。こうしたメーカーの製品をネットの通販サイトやメーカーのサイトなどでチェックしてみるのもありでしょう。メーカーごとの特色はもちろん、用意されているサイズなどにも違いがありますから、それも確認してみましょう。ネット通販でもセットはもちろん、単品でも購入できますから、まずは情報収集から始めてみるのもおすすめです。
まとめ
ディーラーメカニックのようなプロが使用している工具は性能面で優れているため、入手すれば毎日のDIYや機械いじりがより充実したものになるでしょう。ただ、あくまでそれらの工具を使いこなせるだけの知識や技術があってこそ、という面もあるのを忘れないようにしましょう。ご自身にとってオーバースペックにならないよう心がけつつ、プロ仕様の工具を探してみてはいかがでしょうか。
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