溶接機の使い方について紹介
工作や製造工程の中で溶接作業が必要な場合も出てくるでしょう。溶接とは接合をより強力に保つために、熱や圧力を加えていく工程のことです。その溶接をするための機械が溶接機です。溶接機の使い方といわれると、初心者には難易度が高いというイメージがあるかもしれません。しかし今ではDIYの一環として自宅で溶接している人も珍しくなく、それほどハードルの高いものではありません。溶接機にはいくつか種類があって、その使い方も異なりますので注意が必要です。
アーク溶接の使い方
溶接機の中でもポピュラーと言われているのが、アーク溶接です。アーク放電という熱を利用して金属を溶かして接合するアプローチです。アーク溶接機は溶接を手動で行う被覆アーク溶接機と溶接棒を自動的に供給できる半自動溶接機の2種類に分類できます。その使い方も異なります。
まず被覆アーク溶接機の使い方ですが、トーチという溶接機の本体に接続された部位に溶接棒を取り付けます。そして溶接したい素材にこすりつけます。すると溶接棒と素材が溶融します。これを接合部分につけるといずれ冷えて固まり、両者をつなげることができるわけです。素材が薄いと穴が開いてしまう、溶接棒が素材についてしまうなどで初心者には若干難易度が高いです。また溶接棒そのものも作業中溶けてしまうので、長時間の作業の場合、何度も溶接棒を交換しなければならないかもしれません。
半自動溶接機とは、ミグ溶接機やまぐ溶接機とも呼ばれます。その使い方ですが、上で紹介した被覆アーク溶接機と基本的には一緒です。スイッチを押せば溶接棒が自動的に供給されるのが大きな違いです。自分でいちいち取り替える手間が省けます。スイッチを入れて素材にこすりつけるだけですので、初心者でも少し使用すれば十分使いこなせます。
TIG溶接機の使い方
TIG溶接とは、タングステン電極棒を使用するのが大きな特徴です。電極から高温のアーク光が発生しますので、これを素材に当てます。そして金属を溶かして接合させる手法です。200V用と100/200V兼用、ガソリン・ディーゼルの3種類に機器は分類できます。
TIG溶接機の使い方ですが、まずはトーチにタングステン電極を取り付けます。この時電極が4~5mm程度出るような感じで取り付けるのが目安です。続いてトーチのスイッチを入れます。この時ガスの量を調節してください。次にTIG調節器の設定を行います。どのような設定にするかは、使用する素材によって変わってきます。設定の完了したところで、溶接面を装着しましょう。最後に溶接棒を差し込むのですが、プールと言われる溶融池のできたところが適切なタイミングです。
スポット溶接機の使い方
スポット溶接という方法で接合する手法もあります。溶接対象の金蔵の上下から電極を当てることで加熱していきます。金属が溶融したところで2つの材質を結合させます。そして金属が冷えて固まれば、両者はつながるわけです。金属の持つ電力抵抗を利用して接合する方法になります。
スポット溶接を見ると、ロボット溶接機やマルチスポット溶接機、ポータブルタイプなどいろいろな種類のものがあります。種類によって使い方は若干異なるかもしれません。しかし一般的な溶接機であれば、使い方の基本的な流れは一緒と考えてください。電極を電源に接続し、接合したい金属板を重ね合わせます。そして溶接したい部分の上下から電極を当てていき、電流を流します。すると金属が解けていきますので、しっかり接合しましょう。電極を当てる際に、適度な圧力を当てるのが使い方のコツです。
レーザー溶接機の使い方
レーザー溶接という方法があります。文字通りレーザー光線を使った溶接の方法です。レーザー光線は非常に高い出力を持っています。ですから異なる素材同士を同時に融解させ、接合できるのが特色です。融解がスピーディなので、今まで以上に短時間で溶接できます。しかもレーザー溶接の場合、接合部分に不活性ガスを照射するのも特徴の一つです。こうすることで金属の酸化を防止できます。固体レーザーを使用するYAGレーザーと二酸化炭素などを使った気体ガスとに分類できます。
レーザー溶接の使い方そのものはさほど難しくはありません。溶接したい材料にレーザーを照射して、溶接をするだけです。ただし使い方の中でも注意点があります。それはできるだけ隙間を作らないように意識することです。レーザー溶接の場合、小さな焦点にレーザー光線のパワーを集める形で溶接します。もし隙間があるとレーザー光線がその隙間を抜けてしまうので、パワーを十分に集められなくなってしまいます。曲げ工程の精度を向上させたり、治具の整備を進めたりして隙間のない下準備を進めておきましょう。
ガス溶接機の使い方
可燃性のガスと酸素を使って燃焼させ、その熱エネルギーを使って接合する方法をガス溶接と言います。ガス溶接の場合、接合するのに多少時間がかかるデメリットはあります。しかし接合部分を確認しながら作業を進められるのがメリットです。作業中に微調整ができるので、溶接不良などが起こりにくいです。
ガス溶接機の使い方ですが、まずはボンベを準備しましょう。ガスボンベを使用するときには、適切な使い方や管理のもとで使うのが基本です。高熱を発する機器の近くで保管しない、40度以上のところに置かないようにするなどを意識してください。日陰になるような場所で管理しないと、爆発事故を起こす危険性もあります。またもし作業中にガスボンベを倒してしまったのであれば、まずはすぐにボンベを起こしてください。その上で5分くらいそのままで放置してから再開するようにしましょう。
ガス溶接ではトーチを使用します。またトーチの形状は作業によって異なります。これから行う作業に適切なトーチが取り付けられているか確認しましょう。点火する際にはガスボンベだけのバルブを開きます。火をつける際にはガス溶接機専用のライターを使用してください。続いて酸素ボンベのバルブを開くことで火力の調整を行ってください。そして対象の材料を溶融させて、接合作業を進めましょう。
接合作業が完了したところで、消火作業に進んでください。この消火作業、手順を間違えると事故を起こしかねません。ですから手順はしっかり覚えましょう。まずは酸素ボンベのバルブを閉めます。次にガスボンベのバルブを閉めましょう。これを逆にやってしまうと、爆発事故を起こしかねません。というのもガスボンベのバルブを先に閉めても、酸素そのものの供給は止まらないからです。すると逆火という現象が起こってしまうのです。安全に作業するためにも、最後の手順を間違えないように細心の注意を払ってください。
まとめ
溶接機の使い方といわれると、専門知識や技術がないと使いこなせないものというイメージがあるかもしれません。しかし正しい使い方をマスターできれば、自宅でも行える作業です。DIYで溶接機を使いこなしている方も少なくありません。溶接作業をするにあたって、アーク溶接については特定の免許や資格がなくても使いこなせます。その他の溶接機については資格や免許が求められる場合もあります。個人的に溶接機を使いたいと思うのであれば、アーク溶接からチャレンジしてみるといいでしょう。また上で紹介したいろいろな溶接機の使い方についてマスターできれば、就職や転職にも有利に働くでしょう。
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